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フィレンツェ：ピエタ (Pieta, Firenze)
フィレンツェ、アカデミア美術館には、ミケランジェロによって制作された大型の大理石彫像が数点所蔵されている。展示室の奥にそびえる「ダビデ」を除き、それらのほとんどが未完成のままの作品である。ミケランジェロは、晩年に３点のピエタ像を制作しており、その内の１点が、この「パレストリーナのピエタ」と呼ばれる作品であった。ただしこのピエタ像については、その資料が少ないことから、他の２点─ミラノ、及びフィレンツェにそれぞれ所蔵される─とは異なり、弟子の手による可能性もあるとされる。確かに、この群像は、同室に展示される「奴隷」など他の彫像と較べると、迫力に欠ける気がしないでもない。しかしながら、未完のまま大理石の肌に残された無数の鑿跡は、その石塊の大きさに反して非常に細かく、微妙で、この点において、芸術家の作品に対する態度は、いずれも変わるところがなかったと言えるかも知れない。
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