|
あなたは日が傾く前にふもとの村に着くことが出来た。村は妙に寂れた様子で、大きな村にしては人影も少なかった。 (この村はハムスターの名産地として、栄えているはずだが?) 奇妙な印象を抱きながらも、あなたは宿屋の看板を見つけ、中へ入った。 あなたは宿屋のおかみさんに二階の部屋に案内された。いそいそとベッドを整えながら食事はどうするかと訊くおかみさんに、 「故郷から持ってきたハムスター用チーズが残ってますから結構です。でも明日、出発するときにはお弁当をお願いします」 とあなたは断った。 「そうですか。ハム用チーズを食べるなんて、お客さんもハムスター使いなんですね。この村にはハムスターの買い付けに?」 「いえ、ハム〜ルマウンテンに行こうと思いまして」 あなたのその応えを聞いたおかみさんの手が止まった。 「そう、なんですか。…あ、じゃあごゆっくりどうぞ」 そして何故か慌てたように部屋を出ていってしまった。一体、どうしたというのだろう? 不審に思ったあなたは、おかみさんのあとを追うように部屋を出た。 すると階段を半分下りたところで、宿屋の主人とおかみさんがひそひそと話をしているのが聞こえてきた。あなたは思わずその場で足を止めて聞き耳を立てた。 「あの人、あそこへ行くんだって…のそのそとせかせかにやられちまうよ、お前さん」 「…あいつらのことは村の秘密だからな。黙ってればいいんだ」 「でも…」 (のそのそとせかせか…?) 不思議な響きのある言葉だ。言い方からして何かの名前のようだが…。 更に聞き耳を立てたあなただったが、それっきり二人の話は聞こえなくなった。あなたは足音を立てないようにそっと自分の部屋のベッドに戻った。 ここの人達は何かを隠しているようだ。得体の知れない不安を感じたあなただったが、ここで引き返す気など全く起きなかった。故郷で待っている可愛いハム達のためにも、どんなことがあっても『ハムスターの楽園』まで行くのだ。 とにかく洞窟に行ってみれば、人々の奇妙な言葉の意味も分かるだろう。あなたはそう心に決めると、チーズで空腹を満たし、洞窟を通るための装備を点検を終えた。 そしてベッドに横になると、今までの旅の疲れもあって、すぐに深い眠りの中へ落ちていった…。
ところで、あなたがおかみさんに頼んだ弁当は…?
|