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(泥棒が入ってくる時の音楽が流れる) |
泥棒: |
(入ってくる)抜き足、差し足、忍び足…むき出し、丸出し、かものはし…って、全然違ってるじゃねーか俺。
と、そんなことはどーでもいいんだ。さっさと金目の物見つけてとんずらしねーと…。 |
刑事: |
動くなー! |
泥棒: |
だ、誰だ!? |
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(ヒーローが登場する時のような音楽が流れる。変な服装をしてピコピコハンマーを持った刑事が入ってくる。
少しの沈黙) |
泥棒: |
…あのさ…おまえ誰?って言うか、何? |
刑事: |
何だ、だと?この姿を見てわからないのか? |
泥棒: |
わからないから聞いてるんだよ。なあ、いったい何者なんだ? |
刑事: |
俺か?俺はなあ…。(必殺仕事人の音楽)天知る、地知る、お味噌汁!チルチルミチルは青い鳥!俺が昔夕焼け
だったころ、弟は小焼けだった。親父は胸焼けで、おふくろはしも焼けだった。わっかるかな〜、わっかんねえ
だろうな〜。 |
泥棒: |
ああわかんねーよ。いったい何年前のギャグだよそれ?そのギャグをど真ん中で受け止められる世代の人間がこ
の場にいると思ってるのかよ? |
刑事: |
いるんじゃないか、百人ぐらい。 |
泥棒: |
そもそもそんなに入ってねー!いいからおまえの正体教えろ!話が進まねーよ! |
刑事: |
おおそうか!よーしいいだろう、俺の正体を教えてやる。耳の穴かっぽじって、よーく聞けよ。俺はなあ…ハン
マーデカだあ!デカだあ、デカだあ、デカだあ…。 |
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(間) |
泥棒: |
デカぁ?バカの間違いじゃねーの? |
刑事: |
やかましい。 |
泥棒: |
それにしても、警察に見つかるなんて俺もヤキが回ったもんだな。 |
刑事: |
いつもより多めに…。 |
泥棒: |
そんな風には回らないから安心しろ。しかし、どうして俺がこの家に入るのがばれたんだ? |
刑事: |
この周辺に不振な人物がいるって通報があったんだよ。 |
泥棒: |
通報!?…って言うとあれだな?(遠い目になる)おらぁ見ただよ。麦畑の上に、赤い光がぽわーって出たかと
思うと、ぐるーっと回ってどっか飛んでっただよ。 |
刑事: |
‥‥‥‥。少し泳がせてみるか。 |
泥棒: |
それだけでねえ。その麦畑さ行ったら、なーんか麦がみんな倒れててよー…。 |
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(間) |
刑事: |
どうした? |
泥棒: |
ツッコめよ!せっかくハンマーあるんだし! |
刑事: |
だから泳がせるって言ったろ?ほっといたらどこまでやってくれるのかなーって思って。 |
泥棒: |
あのな…。で、どうボケたかはわかってるよな? |
刑事: |
もちろん。 |
泥棒: |
じゃあツッコめよ。 |
刑事: |
それはゴジラだろう。 |
泥棒: |
何じゃそりゃあ!?ボケにボケで返してどないするんじゃおんどりゃー! |
刑事: |
なんでいきなり関西弁なんだよ? |
泥棒: |
いいじゃねーか。それより何より…。 |
刑事: |
がぶりより。 |
泥棒: |
何っ!? |
刑事: |
のこったー!よったよったよったー!(相撲をとる) |
泥棒: |
むっ、くっ…。 |
刑事: |
この…だーっ!(泥棒を投げ飛ばす) |
泥棒: |
うわあっ!? |
刑事: |
ただいまの決まり手はうっちゃり、うっちゃりで、ハンマーデカの勝ち。 |
泥棒: |
なかなかやるじゃねーか。 |
刑事: |
おまえこそ、な! |
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(二人、がっちりと握手) |
刑事: |
じゃあ俺、疲れたから帰るわ。(去ろうとする) |
泥棒: |
ちょっと待て!せっかくコントが盛り上がってきたところなのに帰るなよ! |
刑事: |
おお、そうか。 |
泥棒: |
まったくもう…。 |
刑事: |
しかしおまえもバカだな。刑事の俺がいなくなれば泥棒のおまえは仕事がしやすいのに。 |
泥棒: |
しまった、俺ってば泥棒だったんだあ!すっかり忘れてた! |
刑事: |
ははは、バーカ。 |
泥棒: |
何だと? |
刑事: |
バーカバーカバーカ。 |
泥棒: |
むっかあ!何だよ、バカと言うヤツは自分がバカだ!へへへ、バーカ! |
刑事: |
ぬわにい!?バカって言うヤツ自分がバカって誰がいつ決めたんだよ?何年前の何月何日何時何分何秒、地球が
何回回った時に決まったんだよー!? |
泥棒: |
うるせーバーカ! |
刑事: |
おまえこそバーカ! |
二人: |
バーカバーカバーカ! |
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(間) |
刑事: |
何か、やっててアホらしくなってきた…。 |
泥棒: |
俺も。子供じゃあるまいし…。とりあえず、それぞれの仕事に戻って話し進めよーぜ。 |
刑事: |
ということはつまり…。 |
泥棒: |
俺泥棒、おまえ刑事。 |
刑事: |
警察だ、手を上げろ! |
泥棒: |
早い早い!俺が合図したら、な? |
刑事: |
いいだろう。 |
泥棒: |
では…よーいドン!…と言ったら開始だからねえ。 |
刑事: |
(こける)ベタベタじゃないか!そんなお約束をやるんじゃない! |
泥棒: |
何だよ、やってこそお約束だろう? |
刑事: |
おお、一理ある! |
泥棒: |
だろう?それはそれとして合図行くぞ。よーいスタート! |
刑事: |
手を上げろー! |
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(間) |
泥棒: |
ぷっ。 |
刑事: |
何だよ? |
泥棒: |
見事にひっかかったな。俺はよーいドンと言ったら開始って言ったの。さっきのはよーいスタートだぜ。 |
刑事: |
あっ、てめえ…。 |
泥棒: |
やーい、ひっかかったひっかかった。 |
刑事: |
何か、まだ子供が抜けきってないみたいだな…。 |
泥棒: |
ひっかかったひっかかったひっかかったー。 |
刑事: |
やかましい!やめよーぜこーゆー本編とは全く関係ない場所で笑いとるお芝居はー! |
泥棒: |
そ、そうだな。いいかげん本編に戻ろう。 |
刑事: |
よし。というわけでホールドアップ。(拳銃を出し泥棒に向ける) |
泥棒: |
ちょ、ちょっと待たんかい!それはいきなり過ぎやしませんかい!? |
刑事: |
こーゆー武力行使しないと、どーも話がまとまりそーにないんでね。 |
泥棒: |
まとまらねーのはおまえも一枚噛んでるだろうが! |
刑事: |
噛んでるって、ガム? |
泥棒: |
違う! |
刑事: |
まーとにかくだ、署までご同行願おうか。 |
泥棒: |
水戸黄門。 |
刑事: |
それは御老公。余裕あるな、おまえ。 |
泥棒: |
余裕はなくてもとりあえずボケとけが信条なもので…。とにかく、卑怯だぞその銃! |
刑事: |
9。 |
泥棒: |
(こける) |
刑事: |
続けろよ。 |
泥棒: |
…8。 |
刑事: |
7。 |
泥棒: |
6。 |
刑事: |
5。 |
泥棒: |
4。 |
刑事: |
3。 |
泥棒: |
2。 |
刑事: |
1。 |
泥棒: |
0。 |
刑事: |
ドカーン! |
泥棒: |
やっと終わったか。長いボケだった。 |
刑事: |
マイナス1、マイナス2…。 |
泥棒: |
0で止めろよ!爆発までしたんだから! |
刑事: |
マイナス5、マイナス6…。 |
泥棒: |
聞いちゃいねえ…。そうだ、今のうちに逃げちゃえ! |
刑事: |
ぱっきゅーん! |
泥棒: |
うわっ、かすった! |
刑事: |
逃げるんじゃねえ!おとなしく縛につきな! |
泥棒: |
BAKU!? |
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(突然流れるBAKUの曲) |
刑事: |
違う違う!(音楽止まる)おとなしくお縄をちょうだいしろと言ってるんだ。この十手にかけて、てめーは逃が
さねえ。 |
泥棒: |
十手なんてどこにあるんだよ?おまえは江戸の岡っ引きか? |
刑事: |
一匹二匹岡っ引き。 |
泥棒: |
そんな数え方はねえ!いかん、バカ過ぎる…。 |
刑事: |
おうおうおう、江戸っ子をなめんじゃねーぞ! |
泥棒: |
いきなり開き直った!?やっぱり江戸っ子なのか!? |
刑事: |
こちとら、産まれも育ちも東北青森。 |
泥棒: |
どこが江戸っ子だよ。 |
刑事: |
細かいことは気にすんねい。 |
泥棒: | 気にするよ。細かくないし。 |
刑事: |
江戸っ子は宵越しの銭は持たねーんだ。 |
泥棒: |
関係ねーよ。 |
刑事: |
火事とケンカは江戸の華でい! |
泥棒: |
だから意味わからねー…。(はっとする)おまえまさか…江戸マニアか!? |
刑事: |
そうとも俺は江戸マニア。タスマニアとはひと味も二味も違うんだ。(遠い目になる)江戸はいいよねえ。日本
人が作り上げた最高の文化だ…。 |
泥棒: |
何か、変な雰囲気…。 |
刑事: |
ああっ、江戸〜〜〜〜〜〜!! |
泥棒: |
マニアと言うよりフェチだこいつ!危ないから逃げる! |
刑事: |
だから逃げるなって言ってるだろう!逃げると俺のコルトパイソンが火を吹くぜ! |
泥棒: |
江戸はどうした? |
刑事: |
それはそれ、これはこれだ。さあ、おとなしく縛に…。 |
泥棒: |
BAKU!? |
刑事: |
それはもうえーっちゅーねん!ことごとく人をバカにしやがって…もう許さん! |
泥棒: |
許さないって? |
刑事: |
おまえを撃ち殺す!お覚悟!! |
泥棒: |
うわあっ! |
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(間) |
泥棒: |
あれ、どうしたんだ? |
刑事: |
弾切れだ。 |
泥棒: |
さっきの一発で終わりだったのか?はん、飛び道具がなけりゃ、おまえなんて怖くないね。 |
刑事: |
飛び道具がない?ふっ、甘いな。 |
泥棒: |
何っ!?まだ何かあるのか!? |
刑事: |
(ハンマーを頭の上に立てる)アイスラッガー!(ハンマーを投げ飛ばす) |
泥棒: |
おわあっ!? |
刑事: |
今だ!(手錠を出し、自分と泥棒の腕にかける)はーっはっはっは、よーやく捕まえたぞ! |
泥棒: |
しまった、あまりのバカバカしさに気をとられているうちに…。 |
刑事: |
ふふふ、さあ、来てもらうか。 |
泥棒: |
こうなったら観念するよ。煮るなり焼くなり、好きにしな! |
刑事: |
では好きにさせてもらおうか。おまえはこれから俺の実験体となるのだ。 |
泥棒: |
実験体って…何それ!? |
刑事: |
俺は刑事の他に科学者もやっていてな。人体実験の素材を探していたんだ。 |
泥棒: |
ちょ、ちょっと待て!たしかに煮るなり焼くなりとは言ったけど…。(二人退場) |
泥棒: |
ぐわぁぁぁぁ、またこのオチかぁぁぁぁぁ!! |
刑事: |
ふわーっはっはっはっはっは!(オチの音楽の後暗転、END) |
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