◆ 健康食品の安全性 ◆
健康食品については、インチキなものも含め情報が氾濫している状態です。
例えば、一時期ダイエット効果があるとテレビや雑誌などで食品としてブームになった「にがり」は、ダイエットの効果の根拠はありません。にがりは濃縮した海水から塩を除いた後の残留物で、主成分は塩化マグネシウムです。これまで豆腐を作る凝固剤として使われてきました。主成分の塩化マグネシウムが「糖の吸収を遅らせる」「脂肪の吸収をブロックする」「糖質代謝を促進する」などとして、ダイエット効果を紹介する例が目立ちますが、どれも確実な根拠や文献はありません。マグネシウムは医薬品の世界では下剤に使われており、食品として過剰に摂取すると下利をする可能性があります。下痢による一時的な体重減少は見かけの変化にすぎず、ビタミン、ミネラルの吸収を妨げることもあります。通常の食品に含まれる程度のマグネシウムなら健康に与える影響なほとんどないと考えられてきましたが、にがりの摂取量を間違え死亡した例も報告されています。
国立健康・栄養研究所(東京)は、平成16年7月にウコンやクロレラ、ビール酵母、コラーゲンなど、最近話題との健康食品約百種の安全性や有効性などについてホームページ(http://hfnet.nih.go.jp/main.php)で掲載を始めました。この中で一番関心が持たれているのは、健康を気遣う人に人気がある食品98種類についてそれぞれ解説した「素材情報デターベース」です。五十音順に掲示し、成分や性質、安全な取り方を紹介しているほか、がんなどの病気や肝臓などの臓器に有効かどうかなどについても掲載しています。いずれも人間を対象にした研究で有効性が確認され、学会などが評価した信頼できる情報を紹介しています。このほか、健康食品との賢い付き合い方などを一問一答形式にまとめた「利用に関する基礎知識」や、死亡者が出て販売中止となった中国のダイエット食品の例など「被害関連情報」などもあります。
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