コントラバスのページ

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全くの初心者のための教則本選び(全く初心者の指導者のためにも)

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このページの最終更新日:03/03/04


BD14578_.gif (200 バイト)コントラバスの教則本は数多く出版されていますが(他の楽器に比べればかなり少ないが)、全くの初心者が誰の指導も受けないでこの楽器を学習するときに使用できるものは、ほとんどありません。それは「教則本」というものが「レッスンの教材」として使用されることを念頭に置いて書かれているためで、「本当に大切なことは先生から直接指導される」ことを前提とし、その部分に触れられていないからです。
BD14578_.gif (200 バイト)しかしそれでは、地方で全く独習しようという初心者(多分、この楽器を始める90%以上がこの状況にあると思います)にとっては、何の参考にもなりません。かえって、難しい合奏曲(吹奏楽コンクールの自由曲というのは、何であんなに難しい曲を選ばなければならないんでしょう。しかしこの問題はこのページで論ずることではないので、ここでは触れないことにしましょう)によけいな曲を増やして負担を増やすだけという結果になってしまいます。

BD14578_.gif (200 バイト)「地方で全く独習しようとしている中学生の初心者」のための教則本ということを考えると、次のような条件が挙げられると思います。

BD14578_.gif (200 バイト)大前提:日本語で書かれている、または日本語に翻訳されている、あるいは日本語に”も”翻訳されていること。
BD14578_.gif (200 バイト)条件1:簡単に手に入れられる。(地方の楽器屋から、あるいはネット上で)
BD14578_.gif (200 バイト)条件2:記述が詳しく丁寧。(何しろ、教則本以外から楽器の演奏法に関する詳しい情報は得られないのですから)
BD14578_.gif (200 バイト)条件3:特殊な奏法をしていない。(ローポジションで3の指を使うような奏法は、特に女子中学生には「絶対無理」と言ってよいでしょう)
BD14578_.gif (200 バイト)条件4:薄い。(「厚い」教則本は、見ただけで取り組む意欲がなくなります。何しろ合奏曲が難しすぎますから)

BD14578_.gif (200 バイト)それでは、何冊かの教則本をご紹介いたしましょう。表紙の写真の右側には、「書名」「著者」「訳者」「出版社」「価格」「全ページ数」「論評」の順で記述します。(もちろん、「訳者」がない物もあります……日本語で書かれたものは当たり前ですがありません)なお、価格に「税別」の表示が多いのは、未だに消費税3%の計算になっている物が多いためです。

method-1.jpg (5670 バイト) ・低音大提琴 基礎教範 巻一
・高西康夫
・M&H
・2,500円(税込)
・36ページ
・「地方で全く独習する中学生の初心者のため」の教則本としては、私はこれを第一に推します。大変に薄いため、「一年間でこれ一冊全部弾け」というのは、決して無理ではないでしょう。
「初心者の中・高校生」向けに書いたと著者がいうように、説明が丁寧でわかりやすく書かれています。(それでも、「全くの初心者」にはわかりにくい所もあるだろうと思います)
他の教則本と違い、一つのポジションを徹底的に練習するということを目的とせず、ハーフポジションからのポジション移動でその上のポジションを習得するように考えられています。(それも、普通の吹奏楽曲を弾くのに十分なポジションまで)
最大の問題点は、普通の楽器屋では手に入りにくいということでしょうか。ただし、弦楽器の山本(ここからリンク)で通信販売しています。(e-mailでOK)また、ページ数に比較して価格が高いのも難点かも知れません。(別に肉買っているわけじゃないんだから、量と価格が連動していなくてもいいんだけどね)
method-2.jpg (5631 バイト) ・朝練コントラバス 毎日の基礎練習30分
・永島義男
・全音楽譜出版社
・850円(税別)
・46ページ
・厳密には「教則本」とは言えないが、「基礎編」の記述が易しく丁寧で、独習者には格好の資料でしょう。特に「5.ボーイング」の記述はありがたいでしょう。
ただしここではそれぞれのポジションで弾ける音階のみが取り上げられていて、他の課題がありません。この意味では「教則本」として取り上げるのには不足があるかも知れません。高度な曲を演奏しないような吹奏楽団に属しているコントラバス奏者であれば、この「基礎編」の音階全部を練習する必要さえないかもしれません。(もちろん「それでよい」と言っているわけではありませんよ)
後半の「練習編」(「1日30分」というのは、この「練習編」を最初から最後まで弾ききる時間をいうのでしょう)にはいくつかの練習曲がありますので、これを利用するとよいでしょう。ただし、基本的には「教則本」の「補助教材」。
method-3.jpg (4272 バイト) ・NEW METHOD FOR THE DOUBLE BASS BOOK1
・F.Simandl
・不明
・CARL FISCHER
・3,100円(税別)
・149ページ(BOOK1のみ)
・コントラバス奏者なら、知らぬ者はない教則本。
しかし、「地方で全く独習する中学生の初心者」が使用するには、問題が多いと言えるでしょう。なんといっても、説明が簡略すぎて、理解できない点が最大の問題点。次に、各課題が長すぎ、初心者はとても1曲弾ききれません。(この点に関しては、最初は4小節程度に区切って演奏することにより解決できるでしょう)西洋人は全くの初心者でもこのくらい長い課題を一気に弾ききるだけの力があるのでしょうか。
method-4.jpg (6834 バイト) ・わかりやすいコントラバス教則本(A Pratical Method for the Double Bass)
・稲垣卓三
・ビクター C セアル(お間違いなく、日本語で書かれ、英語に訳されています)
・佼成出版社
・3,000円(税別)
・127ページ
・「わかりやすい」と表題にあるとおり、説明の量が多く、丁寧です。ただし、限られた紙面である程度のポジションまで練習させようとするため、「進度が速すぎる」憾みがあります。「地方で全く独習する中学生の初心者」が使用するには、「難しい教則本」と言えるのではないでしょうか。地方の吹奏楽の現状をよくご存じと思われる著者は、一体どういう人間を対象にこの教則本を書いたのか大変疑問です。
ただし、「自分は弾けないけれどコントラバスを指導しなければならない吹奏楽指導者」が知識を手に入れるためには格好の教則本と言えるでしょう。
method-5.jpg (7123 バイト) ・コントラバス奏法(Mein Musizieren auf dem Kontrabasz) (上)
・ルートヴィヒ・シュトライヒャー(Ludwig Streicher)
・長谷川悟
・音楽之友社
・2,880円(税別)
・150ページ(上巻のみ)
・「シュトライヒャーの奏法を学ぼう」というかなり弾ける人用の教則本と考えます。(課題が難しすぎます)「地方で全く独習する中学生の初心者」が使用できるとは、全く思えません。ただし、その記述は示唆に富み、ある程度弾ける人が読むなら、かなり参考になると思います。(弓の持ち方の説明に「弓の毛をほんのわずか駒の方向に向けます」という表現が何回か出ますが、私の感覚としては「棹を指板の方向に傾ける」とした方がわかりやすいと思います。この手の文章が、いくら英語の表現がそうなっているといいながら、文章全体をわかりにくくしています)
それにしても写真を見ると、彼我の体の大きさ(手の大きさ)の差に、絶望的になります。「標準的な大きさの楽器」の上駒が目と同じ高さにあるのです。私なぞ、額より高い位置にあるかもしれません。
method-6.jpg (3599 バイト) ・コントラバス教則本(PRATICAL METHOD FOR DOUBLE BASS)
・松野茂
・ドレミ楽譜出版社
・1,500円(税別)
・95ページ
・「歴史」の記述は他の教則本になく、簡略ながら知識として読む分には楽しく読めます。ただし、それ以外にはほとんど説明がなく、「地方で全く独習する中学生の初心者」が使用することは勧められません。
method-7.jpg (10484 バイト) ・バンドジャーナル(Band Journal)
・奥田一夫(ただし、2000年4月号まで。5月号からは誰が書くのでしょう)
・950円(1号につき・税込)
・1ページ(ただし、1号につき)
・もちろん、「教則本」ではありません。
吹奏楽関係者にはあまりにも有名なため、説明するのがアホらしいくらいの雑誌。この雑誌の「ワンポイントレッスン」は一流の演奏家が書き続けているため、大変参考になります。1号に1ページと量的には問題になりませんが、バックナンバーをそろえればすばらしい資料となること請け合い。
method-8.jpg (6126 バイト) ・うまくなろうコントラバス  Band Journal Book 12
・永島義男
・1,200円(税別)
・93ページ
・これももちろん「教則本」ではありません。著者は、上記「バンドジャーナル」の「ワンポイントレッスン」コントラバスの初代執筆者。楽器・弓・弦・松ヤニ等の選び方・使い方から、指を強くする法・ポジションを身に付ける法等の練習法等、至れり尽くせりの内容。特にピッチカートに関して詳しく述べられており、このためだけに購入しても損はない。ただし、これも「教則本」を練習する補助教材。

 

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