食味計あるいは味度計といわれている機械が普及して久しいです。米を販売する業者ばかりではなく生産者も導入しておりますが私は使っておりません。
まず、その機械についてご説明します。
お米は3大栄養素の「たんぱく質・炭水化物・脂質」、水分、その他の成分の比率によって美味しさを左右されるとされております。
その成分の比率を機械で測定するわけですが、例えば水分○○%、たんぱく○○%、アミロース○○%というように成分を測定した数値に関しては全く問題無いのですが、その測定値を元にメーカーが独自の尺度でポイントをつける段階でややこしいことになってしまいます。
それぞれの数値のコンマ数%の違いをポイントに換算することに客観的なデータの適用というのは大変難しいでしょう。同じお米でもメーカーによって違う点数が出て当然ですし、食べた人が点数どおりの食味を感じなかったとしても当然です。「食味計・味度計」というよりは「成分分析計」という名前が適切ではないでしょうか?
「魚沼コシヒカリが○○点で私のコシヒカリは○○点です。はるかに美味しい数字が出ています!」というような宣伝がありますが、数字が出ていることは事実でしょうが食べた人が美味しいと感じるかどうかは全く保証はありません。
いろいろなエピソードがありますのでご参考になればと思い申し上げます。
「食味計」が初めて販売された当時、米屋が集まって各々自慢のお米を持ち寄って食味コンテストみたいなことをしたら「絶対こんな結果が出るわけがない!」という数値が出てしまいました。
試しに全員でそれぞれのお米を食べてみても納得できる順番にはなりませんでした。メーカーの方は認めてくれませんでしたが、販売店の方は「機械なんていい加減なものですから・・・出そうと思えばいい数字を出すことは可能ですから・・・人間が食べてどう思うかと機械の数字が一致するとは限りません。」ナルホドですよね。
「出そうと思えば・・・」の具体例になります。
水分に関して通常14~15%の範囲内にあれば合格ですが多い方がよりよい数値が出るそうです。「軽く霧吹きすると数値上がるんだよね~」なんて農家の人に教えられたりします。
肥料のやり方もそうです。
特定の肥料をある時期に多めにあげれば食味には関係なくても数値は上がるそうです。(いずれも聞いた話ですので自分自身で試して確認してはおりません。裏づけの客観的なデータは持っておりません。ご了承下さい。)
ビール・発泡酒に話を例えれば分かりやすいかもしれません。メーカーが独自にマーケティングをして研究開発しても全てが全て消費者に指示されるとは限りません。「美味しい」って言ってくれる人もいれば、「全然美味しくない」あるいは「高かった、もっと安ければ買う」という人も沢山いるでしょう。
身近なところでラーメンにも同じことが言えるのではないでしょうか?行列ができるラーメン屋さんに連れて行ってもらって、なんでみんなこんなに並んで待っているのか不思議に思ったことがあります。
味の好みは人それぞれいろいろですよね。
人がどう感じるかという感覚を成分を元に数値化してポイントに置き換えることは不可能だと思います。
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