弦エニシ&me  その20

昨日の話の続き。

私達は、桐ケ谷斎場の喫茶店で、その時を待っていた。。その時とは・・・
この間、私は、自然に弦先生の御姉様夫婦と、同じテーブルに着き、とろとろと、御話をすることとなった。
隣の、O先生達のテーブルでは、ビールを飲んでいる。  私も、飲みたい・・・我慢我慢

御姉様達と、ぼんやりと、しかし、しっかりとした記憶を、私は、語りました。ウーロン茶を飲みながら。
「あなたがいらっしゃって、本当によかったわ。」と、御姉様が言って下さいました。
生前、一言もしゃぺった事のない妹と、火葬場で、対面するなんて・・・

弦エニシの写真をしみじみと見ていた御夫婦でした。

やがて、その時は来ました。係の方が、「準備が整いました。ホールの方へどうぞ。」と、声をかけて下さいました。
私達は、一斉に、ガタガタガタと、席を立ち、ゆっくりな歩調で、ホールに向かいました。
遠目に、ステンレスの扉の前に、台の上に横たわっている白い御骨が見えました。
私は、怖くって怖くって、両手で、Sちゃんの左肩につかまり、その台へと、進みました。

その台には、白い骨になってしまった「弦エニシ」が、たたずんでいた。
先生著書のタロットカード教本は、みごとに灰になってしまっていた。

その台を御骨を、骨壷に納める場所へと移動しました。骨壷の隣に、位牌がありました「本名と亨年」が記してありました。
戒名なんて、いらない・・・「弦エニシ」っていう、立派な御名前があるんだから。

2人づつペアになって、御骨を拾います。私は、おろおろしていたので、一人になってしまいました。
すると、係の方が、「一緒に拾いましょう。」と言って下さり、さすが・・・プロですね・・・その女性スタッフと、
一番大きい骨、大腿部の御骨を納めました。

最後に、細かい御骨を集めて骨壷に納めるスタッフが、登場しました。
「立派な、しっかりとした御骨ですね。」  そうよ、体格良かったもん。
私、その様子をみていて、思わず、右手が伸びてしまいました。「その骨、私に下さい。」
ちょっと、横を振り返ったら、御姉様と、目が合ってしまい、とっさに、その手をひっこめました。
ガシャガシャーン・・・骨壷の蓋が閉じられました。
最後、御線香をあげて、その場を去りました。
斎場の駐車場で、文化人のおじさんと、別れました。ふと、見上げると、弦先生の骨壷を胸に抱えて、
どこかに行く係の方を見ました。

さて、私達4人は、山手線・五反田駅に向かいました。私だけ違う方向のホームでした。
皆に、大きく手をふって、「御疲れ様」をしました。
さっきまで、あんなに汗かいていたのに、汗が引いてる。それに、何か冷たいモノが、
私の右腕に絡まっている・・・寒い。

ザーッとホームに滑りこんで来た山手線に乗り込み、立ったまま、ちょっと、考えた・・・そして、秋葉原駅で降りた。

一緒に来ますか?
「いいの?」
もちろんです。 

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